【オリジナル】俺の切り札は光らない

俺の切り札は光らない(雨 唐衣) - カクヨム
俺の右手は光らない

 カードゲームが好きだ。

 集めて集めてうんざりしたカードの山の中で手に取った一枚に焦がれることもあった。
 何度も、何十も、何百回もスリーブが擦り切るまで回した果てに出来たプレイングに自分を褒めたくなったことこともあった。

 練り込まれたデッキには色んなものが入っている。
 揃えたカード資産の金額、ひらめきと考え抜いたゲームメイク、試行錯誤に費やした時間、回したスリーブの消耗劣化の傷。
 青春が練り込まれている。
 青春が詰め込まれてた宝箱で。

 だから、カードゲーマーが祈るのは最後だけ。
 プレイも構築も磨き抜いて、運に祈るのはその最後に添えるだけで。

 それ以外には何も祈らない。

 ※カードゲームが社会を支配する世界に転生した一般カドショ通いが、奮闘する話です

雨 唐衣 – カクヨム

オリジナルのカードゲーム世界に転生して一人だけ別のゲームをしてるかのようにカードを回していくお話です。

カードゲーマーにはたまらない作品となっています。

アニメ世界で優先権なんていちいち気にしている奴なんていないのに、主人公だけずっと気にして「通します」とか延々と言い続けるその精神……こういうところが良いんですよねえ。作者のカードゲーム好きがよく分かります。

MTG寄りのカードゲームで、つまりは「何でも」できるところも好みです。

最新話ではソリティアデッキ(相手のことを一切考えず、延々と自分だけカードを出し続けて勝つデッキのこと)で闇のデュエリストを葬ろうとしています。負けたらほぼ死なので本気出すのは当然なんですけどね。

他にも「共鳴率」というホビアニ特有の「引きの強さ」が認知されている中、主人公は「共鳴率ほぼ皆無」で引きの強さではなく汎用カードと集合知で戦ってるのもよかったり、掲示板の軽いノリが主人公の異質さを際出せていたり、たくさんの面白さが詰まっております。

カードゲームが好きな人は必見の作品です。ぜひお読みください。

ハーメルンでも連載されております。

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