ずっと追っていて何度も記事にさせてもらっている「TS衛生兵さんの成り上がり」が完結しました。おめでとうございます。もう更新分を読めないのかと喪失感もありますが、本当に本当に本当に面白かったので、もう一度紹介させていただきます。
TS衛生兵さんの成り上がりは魔法要素のある戦記ものです。TS転生した主人公、トウリは治癒魔法の才を見出され、突撃部隊の衛生兵として戦争に参加します。前世ではFPSで大活躍していたんですが、実際の戦場では当然活かすことができません。最初は扱かれる毎日でした。
ただ、段々と、段々と、上官にぶちのめされながら、現実に打ちのめされながら、狂気に飲み込まれながら、トウリが強くなります。ここぞというときの直感・適応力は「エース」と呼ぶにふさわしく、危機を何度も乗り越えていきます。
この、落としてから上げる、情緒のジェットコースターがたまらなく好きでした。戦場での先行きにハラハラし、トウリが針の穴を通す戦術を見せワクワクし、戦場の残酷さ・無情さ・狂気さに打ちひしがれる。この揺れがたまらなく心地よかったのです。
魅力的なキャラクタ達が、私たちの感情を揺れ動かすことに一役買っていました。
トウリを肉体を徹底的に追い詰めた上官ガーバック。しかし、戦場で生き残るために最も合理的でもありました。
トウリの心を最も揺さぶったであろう戦友ロドリー。彼が心の支えとなり、もしいなければトウリは既に死んでいたことでしょう。
参謀としても現場指揮官としてもイマイチであった上官ヴェルディ。しかし、彼の素直さがあってこそ、部下のトウリの言うことを信じれたのでしょう。
敵にも味方にもなった突撃兵ゴルスキィ。彼の立ち振る舞いはかっこよく、男の中の男でありました。そんな彼に対して、トウリが取った行動とは……
そして、「史上最悪の愚将」シルフ。敵側参謀として味方参謀のことごとくを打ち破り、最も聡明で、最も斬新で、最も善良であった彼女が、なぜ史上最悪と言われるようになったのか。
涙なしでは見ることのできない傑作でした。改めて、完結おめでとうございます。
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