【解説】曇らせ・愉悦とは

「曇らせ」や「愉悦」といったジャンルをはじめて見る方もいらっしゃると思いますので、これらについて解説していきたいと思います。

曇らせ・愉悦の定義

共通項は「人の不幸を喜ぶ」というものです。両者を混同する場合もありますが、厳密にはニュアンスが違います。

違いは曇らせのほうがややソフトより、愉悦のほうがハードよりです。簡易的な表として以下に書きました。

曇らせ愉悦
「表情を曇らせたい」の略文。
拷問やグロテスクな描写がある場合は
あまり用いられない。
他人の苦痛や絶望を喜ぶことを指す言葉。
拷問、殺人行為等も許容される。

以下、それぞれについて詳しく解説していきます。

曇らせとは

「表情を曇らせたい」の略文で、不幸になっている様を喜ぶことを指します。

ハードすぎる内容には用いられず、ソフトな内容も含まれます。つまり、拷問やグロテスクな描写がある場合はあまり用いられません。

どちらかというと、好きな子に悪戯したり、精神的に追い込んで泣かせたりといったことが「曇らせ」に当てはまると思います。

ただ、だんだんと過激になってきている節もあり、愉悦要素が強くても、曇らせと解釈することが多くなってきました。

発祥について

Fate関連のふたばスレより又はプリキュア関連のようです。

Fateのほうが古いので、そちらが発祥のように思えますが、そのスレを実際に確認することが出来ませんでした。詳しい人がいればぜひ教えてください。

愉悦とは

他人の苦痛や絶望を喜ぶことを指す言葉です。

本家Fateで行われていた通り、相当えげつない方法も含まれているため、ハードよりです。拷問、殺人行為等も許容されます。

一方、お遊び程度の手段は愉悦と断じにくいです。狭義的には、好きな子に軽めの意地悪をするのは愉悦成分に欠けるためあまり用いられないと思います。

例えば、爪を一枚一枚剥いでいく様を観察することや、殺人の罪を擦り付けて楽しむことは愉悦成分が多く含まれていると思います。

発祥について

Fate stay night, zeroでのギルガメッシュと言峰綺礼のやり取りからです。

曇らせ・愉悦の細分化

ソードアート・オンライン ラフコフ完全勝利チャートRTA 2年8ヶ月10日11時間45分14秒(WR)」の作者のTE勢残党様が曇らせに関して細分化しております。

感銘を受けましたので紹介いたします。以下の画像の通り、4つに細分化できると主張されております。

https://twitter.com/TE20370862/status/1561232730590892032より引用

曇らせというものを、「比較」「嗜虐」「美学」「加虐」の4つに分けています。

以下それぞれを私なりに解釈して解説しています。また、例も紹介します。

「比較」について

自身より下のものを見る喜び、と解釈しました。

古くからは「えた・ひにん」といった差別階級を作って農民の不満を解消しようとしたり、現代では、学校でのいじめが当てはまると思います。

つまり、自分より貧しい生活をしている人を見て安心することが該当します。

ネグレクトものの「【オリジナル】無戸籍ネグレクト少女を拾ってしまったから(幸せを)わからせたい」が特に当てはまっていると思います。

「嗜虐」について

因果応報・勧善懲悪、と解釈しました。

悪がやっつけられる様などが該当します。古くからは市中引き回しであったり、現代では、テレビ番組の水戸黄門であったり、好きな人は多いのではないのでしょうか。

また、「デスノート」や「モラル」など、主人公がダークヒーローとなり、裁かれることを楽しむのも嗜虐だと解釈しました。

「美学」について

絶望の中にある一筋の希望を追い求める様を楽しむ、と解釈しました。

主人公が成長していく物語で、よくあると思います。強敵が出てきて、最初は絶望するんだけど、修行して打ち勝つ、みたいな作品はこれだと思います。

打ち勝たなくても別にいい、ということが「美学」の特徴でしょうか。過程が大事であって、結果はあまり重要視されません。

能力のなさから追放されて、復讐をたくらむ「【オリジナル】略 妹様へ」が特に当てはまっていると思います。

「加虐」について

自身から発される暴力、暴言、示威的行為を楽しむこと、と解釈しました。

非常にマイルドなものとしては、スポーツなどが当てはまるのではないでしょうか。徒競走などは1位がやはり嬉しいでしょうし。

現在、一番嫌われているものでもあります。徒競走を横並びでやらせるくらいですし。

主人公が殺戮を楽しむ「【書籍】ジェノサイド・オンライン」が特に当てはまっていると思います。

一般的かどうかは程度の問題

4つの属性について、人間なら大小さまざまに持っていると思います。ですので、一般的かどうかは程度の問題でしょう。

曇らせ・愉悦好きは程度が大きいものを求めているので、一般的ではないのでしょう。

複合的な作品が多い

単属性より、複数の属性が当てはまる作品が多いです。

例えば「臆病者の異世界ライフ」は「比較」「嗜虐」が強い小説で、「魔法少女サクリファイス」は「比較」「嗜虐」「美学」が入り混じった小説です。

属性が入り混じり、作品に面白さや新鮮さが生まれるのではないでしょうか。

最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

もしよければ「【まとめ】曇らせ・愉悦系おすすめ小説」もご覧ください。このジャンルへの理解が深まります。

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