カイスト。正暦607億年であり西暦1999年、地球。
『無手勝』コー・オウジと臨時雇いの愉快な(?)仲間達が奇妙な事件を追う。
新年恒例、狂気太郎氏の新作です。カイストという魔人たちのいる世界でのお話で、同一世界観で狂気太郎氏はたくさんの作品を描いています。知らない方は先にカイストシリーズのまとめを読むことをおすすめします。
『無手勝』コー・オウジというAクラスカイストの紹介と、無限牢の存在によりカイスト界隈で強く出ている文明管理委員会と他派閥の話がメインです。この時期が描かれたのははじめてだったので興味深く読めました。
『無手勝』という名前は同シリーズの『敗因』にてフィロスが言及していましたが、ほぼ正体不明の存在でした。その『無手勝』の正体は、『幸運』『運命』を無意識に操り自分の思い通りになるように改変し、己の手を使わず絶対に勝つカイストでした。
『不死者』グラン・ジーなどとはまた違うカイストの中でも上澄み中の上澄みで、突き抜けた力がありました。いやはやこんなキャラ、狂気太郎氏にしか描けません。変わらず氏は最強です。
長編ゆえにバエスキア教団の正体が描かれていたり、Aクラスのカイスト『歪め屋』イクスプラクの再登場や『空っぽの空』『閻魔帳』の初登場など、カイストファンには垂涎の代物でしょう。
文明管理委員会に対抗する勢力「四神会」の設定も驚きでした。絶対正義執行教団と『八つ裂き王』フィロスが手を組むとは、驚愕です。よっぽど文明管理委員会は調子に乗っていて互いにとって目に余る存在だったのでしょう。あと『八つ裂き王』フィロスが『空っぽの空』を勧誘したのも意外でした。フィロス、お前コミュニケーション取れたのか……何だかんだ人間臭いところもありますか。
ファンは絶対喜ぶ内容でした。ぜひ正月休みの際に読んでみてください。
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