【Limbus Company】第9章「断ち切れない」あらすじ・感想【SEASON7:蜘蛛ノ糸ノ赤】

第9章、完走しました。ネタバレ注意です。

泣きました。最高でした。

相変わらずとんでもなかったです。Project Moonってなんでこんなに神なんだ……?と頭を捻りたくなるくらい毎回毎回私の想像の遥か上を超えてくれます。

愛ゆえに憎しみ、憎しむゆえに愛す

第9章「断ち切れない」は親と子による憎しみが主題です。

具体的には「蜘蛛の巣」という閉鎖空間に落とされた「親」と「子」による愛憎劇です。

ここでメインキャラクタの一人「良秀」が5人の親方、各ギャングの幹部らに育てられます。

良秀のことを最強の殺し屋として、最愛の家族として、最良の理解者として、最適な舞台装置として教育を施していきます。そう、暴力的なまでにです。

そうして親方たちの教育を受けた良秀が、彼らを憎むようになるのは必然でしょう。

そういった恨みつらみに耐えれなくなったきっかけが、良秀の娘「アラヤ」の存在でした。

アラヤの存在により蜘蛛の巣の刺客として働いてきた良秀に母性が生まれ、アラヤの幸せを願うようになります。

積み重なった親方たちへの憎悪から、良秀の中の「疑い」が螺旋となり、胸を貫いていきます。

そう。このまま「蜘蛛の巣」に居続けては、「アラヤ」の幸せにはならないと。

蜘蛛の巣を出る覚悟を決めた良秀は、アラヤを「時間金庫」に隠しました。

中に入れたアラヤの時間がゆっくりとなり、周りの時間ははやくなる。蜘蛛の巣に反旗を翻している間、ここならば、安全であろうと。

金庫を5年以内に開ければ、問題もなくアラヤを無事に救うことができるだろう。

そうした算段をして、良秀は蜘蛛の巣の親方たちに抗おうと決心します。

ただ、良秀は親方たち全員を相手取るには実力不足だと認識していました。

それゆえいったん「蜘蛛の巣」を脱出して、強くなってからまた来るか、強力な仲間を率いてまた来ようと画策します。

良秀のみに振るうことが許された刀「阿頼耶識」を用いて親方たちを打ち破っていき、最後には自身の「母」である親方「地慧星」の心臓を穿ちます。

計画通り、蜘蛛の巣を良秀は脱出できました。

しかし、良秀のみが扱える刀「阿頼耶識」が牙を向きます。

「阿頼耶識」は「斬ったモノの存在を消す」力を持つ一方、「振るうと自身の記憶も斬られる」という性質がありました。

蜘蛛の巣から脱出するためには、「阿頼耶識」を幾度も振るう必要がありました。

良秀は「蜘蛛の巣の時間金庫に娘を置いてきた」という記憶だけを残し、全ての記憶をなくしてしまいました。親方の存在も、アラヤの声も顔も、あらゆる全てをです。

その状況にリンバスカンパニー社が目をつけました。

「二年以内に娘に再開させてあげる」と勧誘し、LCBチームに所属する流れとなりました。

良秀がリンバスカンパニー社に所属する一方、「時間金庫」に入った「アラヤ」に問題が生じます。

良秀は「時間金庫」に何度も入ったことがあり安全性を疑っていませんでしたが、実際は違いました。

良秀は「阿頼耶識」を扱えるほど時間に関する認識が優れていたため安全に扱えていただけで、良秀の血を分けたアラヤには扱い切れるものではありませんでした。

そのため、内部の時間がもつれにもつれ、赤ん坊とも老人ともとれる異常な存在として外に出ることとなりました。2年も待たず、親方「リアン」に見つかる形として。

リアンは良秀に殺された「地慧星」の代わりとして「アラヤ」を仕立て上げ、アラヤは金庫から出してくれなかった、自身を異常な存在としてしまった母「良秀」を恨みに恨みました。

そうして年月が経ち、「蜘蛛の巣」にてアラヤは母「良秀」と再び出会いました。

良秀は年老いたアラヤに気づきもしませんでした。アラヤの顔も声も覚えていないからです。母が嫌っていた「地慧星」とアラヤを同一視している始末でした。

より憎悪を深めたアラヤは、良秀に憎しみをぶつけます。なぜ忘れたのか、なぜ見つけてくれなかったのか、良秀に叩きつけます。

そうして良秀は、アラヤだと気づかず「阿頼耶識」でアラヤを斬ってしまいます。

アラヤまで手にかけてしまった良秀は、無我の境地に到達し、全ての存在を消滅させる舞台装置と化します。

それを望んでいたのが親方「リアン」でした。リアンは指令の指示により、この舞台装置を作るために「蜘蛛の巣」を作り上げていたのです。

ただ、舞台装置へと至る良秀を救う存在がありました。そう、「アラヤ」です。

アラヤは死の間際に、母が自身の存在を思い出してくれたことをきっかけに、母への愛を見ることができました。

「私を見つけてくれてありがとう」というメッセージを伝えるため、舞台装置と化した母に思いを伝えます。

そしてアラヤが語った夢「おかあさんのおかあさんになりたい」という夢を叶えるべく、自らを「阿頼耶識」の鞘として、母を舞台装置から解放しました。「アラヤ」という存在だけを忘れた状態で。

親と子の「断ち切れない」関係性を愛と憎しみで表現した、最高のストーリーでした。

親方と子方に繋がる紐

良秀が去ったあと、親方たちは良秀の記憶を呼び起こすために、はたまた最後に残ったアラヤの記憶を奪うために、「子方」を育て上げます。

親指:ヴァレンチーナとルチオ

親方「ヴァレンチーナ」は子方「ルチオ」を「教本」と呼び、虐待に等しい教育を施します。

ルチオは暴力にさらされる中、ヴァレンチーナを殺そうとも思いましたが、実行しませんでした。

これまでの教育からくる恐怖でもあり、裏路地に捨てられていた自分に食べる物と寝る場所を用意してくれたからでもあります。

ルチオを「教本」扱いしているヴァレンチーナも、ルチオの最後には……ヴァレンチーナなりの情を見せます。

愛憎にふさわしい2人の軌跡を堪能できました。

人差し指:リアンとソラ

親方「リアン」は一見、子方「ソラ」のことを案じているように見えます。ソラが望むものを提供したり、欲する言葉かけをしたり……

しかし、リアンの一切が虚構です。人差し指のトップ「指令」の指示により、行動しているにすぎません。リアンの全てが「指令」によって作られているのです。

実はソラもリアンから愛されてはいないと気付いている節があります。それゆえ余計、リアンに縋りついているその様は滑稽に映ります。

ただ2人とも「指令」よりも「家族」が大事であるという共通点があるのではないでしょうか。

リアンもソラも、孤独を恐れ、一生を共にする家族が欲しかったのです。リアンに至っては「指令」に逆らうくらいには。

人差し指らしからぬ「愛情」を持つからこそ、蜘蛛の巣に落とされたのかもしれません。

中指:マティアスとキラ

親方「マティアス」は無邪気な子どものようで、飽きっぽく、いろんなモノに目移りします。

自分の「家族」のためならば、なんでもやってあげようと思える反面、それ以外の何かが犠牲になろうとも一切気にしません。

子方「キラ」もそんな彼の姿を見て、天真爛漫に行動していきます。

しかしマティアスは中指らしからぬ、義理よりも楽しさや保身を重視する人間です。

蜘蛛の巣に叩き落されたのも、遺物「レーヴァテイン」のために長兄と長姉を殺したからです。中指組織も確信には至らず追放処分で済ませているようですが。

そして自身が危険に陥った際、平然とキラを切り捨てました。

子が親を信じていたのに、裏切られる。

人生で必ず経験する事柄ではありますが、とんでもなく絶望的だと感じた一瞬でした。

薬指:カリストとアルビナ

親方「カリスト」と子方「アルビナ」は互いに芸術のために心血を注いでおります。

カリストは、作品へのインスピレーションと自身に対する理解を求めて「蜘蛛の巣」に降り立ちました。

しかし、待っていたのは「蜘蛛の巣」という閉鎖空間だというのに、俗世から逃れられないものばかり……失望するとともに、作品作りに精を出します。

アルビナは、親方を超えることを目標としておりました。よりよい作品を求めて、よりよい材料を集めながらです。

カリストも、アルビナの上昇志向には大変よい刺激となったことでしょう。今までずっと一人でやってきたから余計にです。

我々が想像する親方と子方という関係性に最も近かったのがこの2人でした。

小指:塩見ヨルとレン

親方「塩見ヨル」(このときすでに地慧星は良秀に殺されていてアラヤであると予想される)にとって子方「レン」はあまり関心がない存在だったのではないでしょうか。

なぜ子方「レン」を育て上げたのか、正確な目的は分かりません。良秀を蜘蛛の巣に誘いこむための存在程度でしかなかったのではないでしょうか。

無関心さはまさにネグレクトそのもので、レンはそれに諦観を持って接しているように見えました。

しかし、レンが抱いている感情は諦観ではありませんでした。

剣の道を究めるために、地慧星としての名を継ぐために、表情から想像もできないほど強くその思いを持っておりました。

それが最後の結末に繋がったのでしょう。レンがこの10人の中で一番好きです。

繊細に作り込まれた表現

作中で色んな謎が出てきましたが、判明された部分を取り上げます。

リアンのセリフ「むすめ、ふくしゅうはどうだった?」の意味

リアンの登場シーンでの「むすめ、ふくしゅうはどうだった?」というセリフですが、この「ふくしゅう」は「復讐」ではなく「復習」が正しいです。

英語表記にするとこのシーンでは「Hi sweetsheart. How did.Your reviews. Go?」と言っておりreviewsは復習を差す単語となります。

つまりは「親方たちへの復讐はどうだった?」と聞いているのではなく「ヴァレンチーナとルチオとの戦いはどうだった?」と聞いていることとなります。

良秀を恨んでいるわけでもなく憐れんでるわけでもなく、指令に従い良秀を概念焼却機にしようとする意図が伝わってきます。

生体材料(骨)206、生体材料(血)5という数字の秘密

人間の骨の数206個、血液の量5リットルに対応しております。

さすが薬指の身体派……こだわりが現れている良き例です。

LCEに侵入できた理由・ウアジェトの銃が故障していた理由

全てリンバスカンパニーのCEO、ディアスによるものと推測されます。

理由としては「蜘蛛の巣に協力しないと囚人らの能力が上がらない」「ウアジェトが解決してしまったら良秀の覚醒に至らない」からだと思われます。

ディアスがなぜ自らの手駒を切ってまでLCBチームの覚醒を促しているのかは不明です。が最終目標は「頭のようになるため」「頭をつぶすため」に繋がるのでしょう。

最後に

プロムン様、いつも最高のストーリーをありがとうございます……!一生ついていきます……!

毎回毎回「この章絶対超えられないだろ……」というシナリオを常に提供してくださっているのが恐ろしい限りです。

最後に、リンバスカンパニーに曲を提供してくださっている「Mili」様の新曲を貼っておきます。この章に最もふさわしい曲で、ずーっと聞いてます。

ここまで、お読みいただきありがとうございました。

実は今回の章、時系列がバラバラであらすじをまとめるのに本当に苦労しました。

もしおかしな部分があれば、コメントにて教えてくだされば幸いです。

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