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「この箱庭はね、過疎っちゃったんだ」
神様は、分かりやすく例え話をしてくれた。神様の多くは、とっくにこの世界に飽きちゃって。神話というブームの過ぎた世界は置き去りにされたんだ――と。現代社会の裏で天使と悪魔と人間がバチバチにやり合ってる世界で、天使になっちゃった元人間の主人公が、なんやかんやで文明の破滅を助長させちゃったり見届けたりしてしまう話。
飴玉鉛 – Hameln
主人公が弱っている天使を結果的に喰らい、その天使に成り代わる話です。人間と天使が入り混じった奇妙な論理で困難に立ち向かっていきます。
世界観の設定が巧妙で抜群に面白いです。各勢力を矛盾なく、生き生きと動かしています。
天使と悪魔という陳腐な対立構造には陥らず、天使も悪魔も認めない第三勢力、日本の神が率いる刹那主義者たち、月の寄生虫どもがそれぞれの思惑で蠢いています。
それでいて読みやすい文体で、テンポよく話が進んでいくため、作者の力量がよく分かります。
キャラも魅力的で、一癖二癖ある者たちがたくさん出てきます。私が好きなのは日本の神様をトップとする刹那主義者たちでした。
自分たちが楽しければそれでよい、と思っていて、他者が死のうが生きようが全く気にしていません。それでいて「出来るだけみんな幸せのほうがいいよね」という雰囲気が出ており、ツンデレらしくて良いです。
オリジナリティある人外魔境の世界を見てみたい人にはおすすめです。
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