──その子は、笑顔で命を捧げていた。
魔王討伐の旅に加わったのは、ひとりの頼りなげな魔法使いの少女。
笑顔が可愛くて、パンが好きで、みんなの役に立つことが嬉しくて。でも、そんな彼女の魔法は……寿命と引き換えに放たれていた。
誰にも言わず、気づかれないように。
ただ「助けられてよかった」と笑って、彼女は旅の終わりに消えた。
名前も過去も、何も残さずに──。仲間たちはまだ知らない。
「魔法使いちゃん」と呼ばれる彼女が、何を背負っていたのか。これは、誰の愛も受け取らず、全てを救って消えた少女の物語。
しかし実際には、消えた「魔法使いちゃん」は、何万年も生きる長命種だった。だから、寿命を多少、使用したところで、別に何の問題もなかったのだが……。
本人が消えたことで、その説明をする者は、誰も、いない。
また、何の因果か、彼女たちの冒険の旅が、「優しさで世界が包まれるような物語」として、現実でアニメで放映されることになってしまい――。
勘違いもの+曇らせ+掲示板形式です。曇らせられるのは、「魔法使いちゃん」以外の登場人物と、「日常ものだろうなぁ」と思ってわいわい見ていたアニメの視聴者たちです。寿命が消費されていたと発覚した瞬間、地獄が始まります。ハッピーエンドにしたいですね。
寿命を使い戦っていると思わせる、勘違い系曇らせ小説です。掲示板形式もあり、ライトに読みやすくなっています。
いえ、実際に寿命は使っているんですが、長命種ゆえさほど問題ないんです。ただ周りの仲間は長命種と思っておらず、すれ違いが発生してしまいます。
勘違いものというよりは、自己犠牲ものに近いと私は感じました。勘違いものってギャグ寄りだと私は思っているんですが、この作品はシリアス寄りだと思われますので。必然として私の癖にマッチしました。良いです。
全8話と短く纏まってくれているのもありがたいです。さっと読みやすいので、皆さんもよければお読みください。
※小説家になろうでも掲載されております。
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