生き残った男の子、ハリー・ポッターがホグワーツ魔法学校に入学する年。ハリー・ポッターを中心にこれから起こり続ける様々な問題。大きな渦。偉大な魔法使いが彼を英雄とするために画策する中。
「ウィスキーは好きか? 当たり前だが、大麦、トウモロコシ、ライ麦など材料によっても味わいが変わってな。モルト、グレーン、ブレンデッド、コーン、ライ……取り揃えているぞ」
「ブランデーもあるぞ。まぁ、こっちは焼いたワインという意味から名付けられているからワインかもしれんが。白ブドウだけじゃなく、リンゴやチェリーのブランデーもある」
「ワインの方が好みか? 今年は当たり年だと聞く。手に入れたものがあるから共にどうだ? 赤と白、どちらがいい? ロゼの方が好みか?」
「ああ、果実酒は好みではないか? なら日本酒はどうだ? カクテルもあるが。ああ、マンドラゴラ酒やベニテングダケ酒もあるぞ」
酒カスドラゴンがダイナミックエントリーだ!!
生き残った男の子? 酒はまだ飲んだことがないか? 飲むか?
偉大なる大魔法使い? 酒は好きか?
闇の帝王? 酒を飲むことを邪魔するなら酒瓶で殴るぞ。
純血? それは酒を飲む時に気にすることなのか?
穢れた血? それは酒の席で気にすることなのか?
死の秘宝? 知ったことかそんなもの。酒だ。酒が全てを解決する。ありとあらゆる問題を酒瓶でぶん殴ってやろう。
どこまで行っても酒のことしか考えていない酒カスドラゴンはホグワーツで何を見る。
お酒は二十歳になってから!皆さん復唱しましょう、お酒は二十歳になってから!!よろしいですね?お酒は二十歳になってからです。守らない場合、グリフィンドール、スリザリン、ハッフルパフ、レイブンクローにそれぞれ500点の減点が下されます。よろしいですね?
前書きと後書きって作者のセンスが出ると思っているんです。何も書かない人、更新日だけ書く人、宣伝をする人、読者を弄ぼうとしてる人、色々います。この著者は中々に切れ味強く、前書きがギャグ塗れになっています。例えば1話前書きだと
お酒は二十歳になってから!守らなかったら四つの寮にそれぞれ500点の減点です。あとスネイプ先生とクィレル先生とロックハート先生とルーピン先生とシリウスとヴォルデモンとダンブルドア校長とグリンデルバルドとランロクの脳天に陶器で作られた酒瓶が直撃します。これも全部ランロクが悪い。
とクスっと来ちゃう感じに仕上がっています。
前書きだけで作品の雰囲気が分かりますし、作者さん、ユーモアにあふれてるんだなあとよく分かります。
作品自体もこういったギャグ要素の側面と、ドラゴンゆえの矜持が混ざり合って面白いです。
酒に関する蘊蓄を語っているときや魔法生物全てを酒の材料として見ていたり、ホントにコイツ酒の事しか考えてねえ!とツッコミを入れたくなります。
一方、戦闘に関しては一定のプライドがあったり、スネイプの嫌がらせを一切気にしていなかったりとドラゴンとして失っていないものもあるんだと思わせます。バランスが取れていていい感じです。
前書きの雰囲気をよく思った方はぜひお読みください。ちょうどいい熟成具合です。
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