妖精の姿を見ることができるメルヴィは、各地の御邸を転々としながら働く派遣型のハウスメイド。今回の仕事は、冬の休暇を別荘で過ごすためにやってきた軍人アダム・スペンサーと、養い子ケイトリンの身の回りの世話をすること。契約期間は一か月。何人ものメイドを辞めさせてきたという癇癪持ちの少女も、どうやら妖精の姿が見えているようで――。感情を表に出すことが不得手な軍人とその養い子の少女と、他人の心の声が聞こえてしまう不思議なちからを持つメイドが、精霊信仰が息づく地で過ごす、冬のひと月の物語。
彩瀬あいり
女性向けのファンタジー風味の恋愛小説です。ただ恋愛要素がそこまで強くなく、男性でも読めます。著者は童話やSF、恋愛ファンタジーを多く書かれている彩瀬あいり氏です。
精霊のいる中世が舞台です。ほぼ犬と同じ犬妖精や人語を喋る馬精霊などもいます。精霊が見える少女の問題行動を主人公が解決する形で物語がはじまり、別荘の主人と信頼関係を築いていきます。じりじりとした歩み寄りで、お互い距離感に悩みながら近づいていく形で私は好みでした。
登場人物の過去が暗かったのも印象的でした。精霊が見えるというだけで嘘つき呼ばわりされて親族から否定されます。少女も主人公もひどい扱いを受けています。かなり掘り下げられて書かれていてよかったです。
ファンタジー風味の恋愛小説が好きな人にはおすすめです。
コメント