【書籍】実験地区13

実験地区13【電子書籍】[ 狂気太郎 ]
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二〇三一年、日本──生活保護制度が廃止され、働けない人間は政府が運営する「実験地区」に送られる社会。実験地区とは、国が将来のあらゆる事態を想定し、隔離した区域内に特別な環境や制度をつくり、その中で人間がどの程度適応できるのかを探る場所。全国に十四カ所ある実験地区には、住民が自ら食料や生活必需品を生産しなければならない「自給自足経済地区」、他人との接触がコンピューター上の仮想空間に限られる「サイバーコミュニティ地区」もあれば、あらゆる病原菌を蔓延させて感染状況や耐性獲得の可能性を調べる「無治療疫病地区」、住民に大量の武器と少量の食料を与えて争わせ現代日本人の攻撃性などを研究している「戦争地区」といった、極めて非人道的な実験を目的とする場所もあった。
 突然の列車事故で両親を亡くした久世明人は、高校二年という若さで、実験地区に送られることになる。その移住先に指定された第十三実験地区は、最低限の公共サービスと生活費が与えられるものの、地区内に警察を含めた公的機関はいっさい存在しない。つまり、法を犯しても取り締まる者がいないため、そこは殺人すらも許される、文字どおり「無法地区」だった。それを証明するように、入所初日から人が殺されるのを目の当たりにする久世。だが同時に、地区内には「自治会」が存在し、ちゃんと機能していることを知る。月会費さえ支払えば、最低限の安全が保証されるというのだ。しかし、自治会の会員となり、無法地区の生活にも慣れてきた頃、久世はあるイザコザから自治会のルールを破ってしまう。普通なら規定に従い裁かれるところだが、そこで久世を「ハンター」に採用してはどうかとの提案が出る。聞けば、無法地区であるのをいいことに、ここには趣味で人を殺すような殺人鬼が大勢やってくるらしい。そして、そいつらを狩るのがハンターの仕事だという。かくして、処罰は免れた久世だったが、自治会のハンターになるべく、「出張肉屋」と呼ばれる殺人鬼を一人で始末するという過酷な試練を与えられたのだった……。

 無法地区で繰り広げられるハンターと殺人鬼の血みどろの狂宴……鬼才・狂気太郎が満を持して放つ、限界マッドホラー・上巻!

狂気太郎

オリジナル小説です。スプラッターホラーです。

あらすじ

  • 主人公は両親を失くしてしまったため「実験地区13」という社会実験をしている地区へ送られます。そこは法律の一切ない地区で、詐欺や強盗、殺人も許される地区です。
  • 主人公は正当防衛とは言え人を殺してしまいます。その結果、殺人鬼を抹殺するハンターとして活動するか死ぬかを選ばされます。
  • 他者の心理が分かり行動を操作できる「サトリ」や近未来の科学技術を取得している「メカニック」、自身が潜むビルに近づくものを片っ端から打つ「タコビル・シューター」など、他にもたくさんの個性的な面子がそろっています。

感想

社会実験的な面も面白いんですが、様々な主義主張の殺人鬼たちと対抗するハンターたちとの闘いを見るのが面白いです。同作者の「殺人鬼探偵」に近いものがあります。実験地区13のほうがマイルドなため、万人向けに寄せられてます。

殺人鬼とハンターの対決は、現代兵器の銃など出つつ、オーバーテクノロジーな兵器が出てきたり、催眠術、人間を凌駕した身体能力で戦ったりします。狂気太郎さんの作品らしく独特の文体で、描写を書きすぎというくらいよく書かれています。個人的に一番好きだったのはビルに潜むスナイパーでした。誰も信じず、ビルに近づくものを片っ端から狙撃していく様がいいです。

ストーリーも、最初は鬱蒼としているんですが、途中でヒロインが出てきて、流れが変わります。主人公は最初はうだつが上がらないですが、最終的にはヒロインを守ろうとして大立ち回りを見せていきます。読後感はとてもよかったです。狂気太郎氏の小説ではめずらしいことです。

化け物同士の対決やスプラッターホラーが好きな人にはおすすめです。

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