「生まれて一度も読書をしたことがない男が本を読んだら、一体どうなるんだろう」
そんな素朴な疑問がきっかけで生まれた「本を読んだことがない32歳が初めて『走れメロス』を読む日」というオモコロ記事。
１人の男が人生で初めて本を読む。ただそれだけの記事が爆発的に拡散され、100万人の目に留まる大ヒット記事に……！
この本でしか味わえない、不思議な読書体験をぜひお楽しみください！
以前紹介した「変な家」の作者、雨穴氏が宣伝しておられ、レビュワーとしてどんな風に本を面白可笑しく紹介しているのか、気になったため購入しました。
一行一行過去の名作を読み解き、それに対して読書したことのないみくのしん氏がコメントを返す、という繰り返しで構成されています。
まず文字サイズが大きくてびっくり、そして画像枚数の多さにも驚きでした。しかも何の画像かというと、かまど氏とみくのしん氏のやりとりが大半を占めます。「変な家」でも画像枚数は多かったですが、それは「間取り」というものに焦点が置かれていたから。この小説は、分かりやすさのためだけに画像をふんだんに使っています。
私はこれを読んでみて「本を読んだことがない人ってこう考えるんだあ……」と参考になりました。もはや読書は私にとって空気を吸うくらいには馴染んじゃってるので、新鮮な考えでした。小説家の方も、読みやすい文章を考えるいいきっかけになると思います。
この本、唯一の欠点もあったんですが、それは「過去の名作が面白すぎるところ」です。「走れメロス」「一房の葡萄」「杜子春」どれも面白すぎるんです。
読み進めるにつれ完全に没入させられました。そのせいで、段々と二人のやり取りが気になってきちゃう始末で……読書をよくされる方には逆にしんどいかもしれません。
本を読んだことがない方、読み方を知りたい方、読書したことがない人の気持ちを知りたい方にはきちんと刺さる一作になっていると思います。よければお読みください。
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