少年犯罪、更生、少年法。後悔と反省。なぜ人は犯罪をするのか？
赤月カケヤ – 小説家になろう
そんなテーマに興味がある人には刺さる作品かと思います。
目立つ為にゲーム感覚で殺人をした少年と、クソガキを憎み少年法撤廃を望むイケメン弁護士が、お互いの存在を特別に思いながら、「更生」をテーマに、数奇な運命に翻弄されるお話です。
序盤は胸糞展開が続きますが（カケヤさんの作品を知っている人には通常運転）、それだけでは終わらない作品にしたつもりなので、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
ちゃんとカタルシスはあります。
（書籍化歓迎）
セックス、暴力、拷問等の描写が一般書籍で出せるギリギリで表現されており、閲覧注意です。
「キミとは致命的なズレがある」等多くの書籍を出している赤月カケヤ氏の新作です。サスペンス調で、良い意味でライトノベルらしさがないのが特徴です。本作も一般文芸に近いです。
本作は強姦、拷問、殺人を犯した少年の主人公が更生する話と、少年犯罪を絶対悪としているのに主人公を弁護することになった弁護士の人生を追っていく話です。
最初、主人公は本当に気持ち悪い思考をしていて、３話にも渡る濃密な悪人の思考にめまいがしてきます。１話読んだだけで切ってしまう人が大半ではないでしょうか。
最低最悪の主人公が、少年院での経験を経てどんどん更生していきます。主人公に殺された被害者の遺族は絶望のどん底にいるという描写もあり、一方、加害者の主人公は希望に満ちあふれているという、思わず虫唾が走るような対比が意図的に行われています。
そんな最低の主人公ですが、本当に真っ当な人物となり、人助けをしたりボランティア活動に勤しんだりしていく様を見ていく内に、法とは何なのか、更生とは何なのか、自分の中で分からなくなっていき、すごく歯がゆい気持ちに変わっていきます。
その役目を私たちの代わりに弁護士が担ってくれ、主人公を罵りながら助言を与えます。これら一連の流れに氏の言うカタルシスがあるのではないでしょうか（もしかするとまだカタルシスに至る話がでてないかもしれませんが）
弁護士もアクが強く、主人公のことを本気で嫌っていて、死んでほしいと心から願っているにもかかわらず、国から選ばれたためイヤイヤ弁護します。弁護内容はきちんとしており、主人公が裁判で有利になるよう取り計らったのは意外でした。その後の主人公との関わり方をみても、正義感のある人物であることを印象付けられました。
赤月カケヤ氏による熟練したサスペンスを楽しみたい人にはおすすめです。書籍化を楽しみにします。
コメント
やっと反省のカラー読めました！
レビューを読んでエグいのは覚悟してましたが想像以上でした。
主人公へのカタルシスについても薄々感じてましたが、
こちらも予想を超える二転三転する構成が10万文字以下で纏まっていて読みやすかったです。
コメントありがとうございます！
エグさはとんでもなくありますね、良くも悪くもなろう向けではないと思っています。
展開はホントびっくりしました。落として上げて落として上げて……最後が綺麗に終わっているのもびっくりです（賛否両論ありそうですが）読んでいただきありがとうございました。