【オリジナル】F女学園、推理あそび【推理ゲーム戦記】

F女学園、推理あそび【極悪推理戦記】(空等ミア) - カクヨム
6つのルールの中で、貴方を何度も騙します【未知の推理と真に意外な犯人】

 読者は全ての登場人物を疑う。
 Aが本命。次点でB。大穴だとC。Dは怪しくないけど、逆に犯人かも知れない。
 念の為、チラッと登場しただけのEも疑っておこう。
 だから、本当の意味で『意外な犯人』なんてものは存在しない。
 存在するとすれば、それは論理的に推理不可能な、ただの悪ふざけであり、少なくともミステリと呼べる代物ではない。

 ――新入生の少女達は、そんな風に目の前のコレを侮っていた。

 『衝撃の展開』なんてものは、
 いくつかのパターンの中で、今回は盲点だった展開に過ぎず、
 本当の意味で発想の外側にあるようなものではない。

 ――そう信じていた。
 
 これは、とある女子高生が、平和な学園の片隅で行われていた『見たこともないような解法を乱用する推理ゲーム』に参加し、そこで鍛えられた知力で以て、世間を揺るがす大怪盗を退治しようと目論む物語。

 一見、『意外』が入り込む余地のないようなルールの中で、それでもユニークな発想をぶつけ合う、小さな戦争のような推理ゲームの記録。

【ルールA】
 犯人は『メロン、ザクロ、スモモ、リンゴ、ミカン、イチゴ』の中に存在しなければならない。
【ルールB】
 犯人は一人。あらゆる意味で共犯が存在してはならない。
【ルールC】
 犯人以外は嘘をついてはならない。
【ルールD】
 地の文に嘘が存在してはならない。
【ルールE】
 『あらゆる道具、難解な科学、専門的な知識、超常現象』等は明記した場合を除き存在してはならない。
【ルールF】
 ルールA~E以外の全てを認める。

空等ミア – カクヨム

他に類を見ない最高峰のミステリ小説です。ネット小説でこれ以上のミステリを見たことはありません。

「F推理研究部」という部活動メンバーが互いにミステリ小説を考え、解き合うという形式で話が進んでいきます。

この小説を面白くしているポイントは、ルールFです。「ルールA~E以外の全てを認める。」という文章が極めて厄介で、なおかつ、この作品を唯一無二のものにしています。通常のミステリと違い、全てを疑わなければならない一方、ルールA~Eは忠実に守られているため、逆に考えなくてよい部分もあります。

最初の問題「Fアップルパイ盗難事件」ですら私には解けませんでしたが、解答を見て一気にこの小説が好きになりました。アンフェアのようでいて、フェア。ギリギリを突くその解答が、病みつきになります。

ストーリー部分もよくできています。最初はキャラの名前がシンプルで「えっ」と思っていたんですが、キャラ付けもしっかりしていて、ミステリ外のストーリーも飽きさせません。一見不自然に思える部分も全て伏線で、作者の構築力に脱帽します。

私はイチゴが一番好きでした。すべてに興味がなさそうな素振りを最初していたんですが「F推理研究部」に入って生き生きとし始め、2番目の問題「Fブラックチョーク消失事件」を嬉々として作り上げます。感情の薄いキャラが熱気に満ち溢れる様は、王道的でぐっと引き込まれます。

後半は怒涛の展開が押し寄せてきてどんでん返しを繰り返し続けます。ただどんでん返しが理不尽には感じず、何かしら気付ける要素もある辺り、ちゃんとミステリになっています。

おそらく作者は既存ミステリから脱却したかったんだと思います。哲学的な内容にも踏み入れているように思えました。ただ私はミステリに対する理解が足りなかったので、多分そうだとしか言えません。有識者の方、検証してみてください。

これほどまで練り込まれているのにも関わらず全く評価されていません。ぜひ星を押して上げてください。そして皆様の考察を私に教えてください。お願いします。

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