私が今なお脳を焼かれ続けている原因である、Project Moonことプロムンが手掛ける3つのゲーム、『Lobotomy Corporation』、『Library Of Ruina』、『Limbus Company』の魅力をできるだけネタバレのないように紹介していきます。
これら三部作はホントに面白いので興味を持った段階でやってみることをオススメします。希望100%絶望100000000%のミックスジュースを飲み干すのは、麻薬よりも病みつきになること間違いありません。
ゲームの概要
これら三部作のゲームは26区に分かれた『都市』を舞台としています。
第一作『Lobotomy Corporation』では『L社』の管理人が幻想体(SCPのような未知の生命体のこと)からエネルギーを生成します。幻想体が脱走するたびに職員を死に晒しながら『L社』の秘密に迫ります。
第二作『Library Of Ruina』では最下層に属している何でも屋『ローラン』と図書館長『アンジェラ』が『たった一つの完全な本』を作るために図書館を運営します。知識を餌に人を集め、その人を本に変え、知識を餌に人を集め、その人を本に変え、くるくると繰り返すことにより頂点をめざします。
第三作『Limbus Company』は所属も経歴も、何もかも違う12人の囚人たちがバスに乗って26区を巡っていきます。各区に置いて、囚人は己の罪と向き合います。
どれもゲームとしても面白く、後ほど各作品を詳しく紹介したいと思います。
ディストピア世界における「人間讃歌」が最大の魅力
大企業による支配と未来技術「特異点」
都市はディストピアの見本であり、人間讃歌の極地です。
都市の各区は『巣』と『裏路地』に分かれています。『巣』は大企業の庇護下であり、豊かに生活できる場所です。一方『裏路地』はその豊かさを支えるための犠牲として、労働力や命を支払う場所となっています。まさにディストピアまっしぐらな管理社会です。
ただ、絶望だけではなく希望もあるんです。各区を治める大企業は、現代では説明のつかない超技術『特異点』を持っています。
『特異点』を活かした技術で最も知名度を誇るのが『W社』の「ワープ列車」です。どんな距離でも一瞬で着くこの列車、都市の世界観を知らない人でもこれだけは知っているかもしれません。とんでもなく悪名高いんです。
……えっ?ただワープするだけの列車がなぜ悪名高いかって?……リターンにはリスクが存在するんですよ。おそらく、皆さんが想像できる遥か上を行く露悪さです。
『特異点』によるリターンとリスクがもうわんさかわんさかと出て、想像の遥か上からProjectMoon運営は殴ってくるので、飽きなんて全く来ません。これより上はないだろう……というのを余裕で超えてくる、それがプロムン世界です。脳が震えます。
世界に対する歓喜と抵抗
そんな生存するだけでも大変な世界観の中で、抗う人々が出てきます。『Lobotomy Corporation』の創始者■■■■からはじまったであろうその波は、多くの人を虜にし、長い時を経て終着点へと至ります。
賛同者には、『Lobotomy Corporation』を大企業に押し上げた天才■■■や、「都市最強」であるにも関わらず護衛任務しか受けない『赤い霧』など、とんでもない面子が揃っています。
ただ、実は『都市』では人は何にでもなれるんです。
ヒーローにも。機械にも、怪物にも、食材にも、楽器にも、布にも絵具にも。何にでも、なることができるんです。『都市』において人間は全ての可能性があります。
人間のあらゆる可能性を見せてくれ、互いの理念をぶつけ合うこの作品は、本当に熱くてドキドキしてきます。
特に『Library Of Ruina』においてその傾向が強いです。それぞれの人間が好き勝手してるかと思いきや、最後にある一つの理念で共通点が出てくるんです……いやホントに私は震えました。ストーリー展開がこんなにも意外で神がかった展開だとは全く思いませんでした。この作品から、私は信者と成り果てました。
各作品の詳細
第一作『Lobotomy Corporation』
難易度:極高の死にゲー管理シミュレーション
『Lobotomy Corporation』は幻想体からエネルギーを抽出するというゲームで、シミュレーションというジャンルに属します。管理人は職員を雇用し、適切な方法で幻想体を管理しなければなりません。
管理に失敗して職員一人が死ぬのならばまだマシです。職員が全滅したり、酷ければリセットせざるを得ない状況に追い込まれます。
最初は幻想体の情報が全く分からず手探りでやることになり本当に死にまくるんですが、そうしていくうちに段々と情報が公開され管理することができるようになります。
死んで覚える、ソウルシリーズのような難度と思ってもらって間違いないです。
正直、攻略情報なしではクリア不可能なんじゃないかと思うくらいはキッツいです。攻略情報があっても厳しいくらいですから。最高難易度を誇るため歯ごたえは抜群、ゲームに慣れた人にはたまらない内容でしょう。
幻想体の不思議な生態と背景
そんな極高難易度で折れそうになりながらも、やりたくなる魅力があるんです。『幻想体』があまりに恐ろしく、悲しく、美しくのです。前述した通り幻想体とはSCPに近い未知の生命体ですが、SCPよりも有機的で人間味がより溢れています。
オリジナルの背景を持った幻想体はもちろん、おとぎ話に寄せた幻想体や、人間のトラウマに寄せた幻想体など様々います。私はその中でもオリジナル幻想体『罰鳥』『大鳥』『審判鳥』が大好きです。
この三鳥は同じ森で穏やかに暮らしていたんですが、あるとき予言者から「怪物が来る」という予言を聞き、悩んだ末に自分たちで解決しようと努力します。その先に悲劇が待ち受けていることも知らずに。……こんなに健気で可愛いのに、泣けてきます。
このような幻想体がわんさか出てくるため、飽きは全く来ません。幻想体の虜になること間違いありません。時々ギャグ枠も出てきますしね。
隠された真実の恐ろしさが迫ってくる……
幻想体を愛でる(もしくは余りの鬼畜さにぶち切れる)ただの管理ゲームなのかと思いきや、いつの間にか『Lobotomy Corporation』つまりは『L社』の歪さに気付いてしまいます。
管理を続けることにより、管理人は各部門の責任者『セフィラ』たちと交流を深めていきます。それぞれの『セフィラ』には個性があり、ミッションをクリアすることにより、その人となりを知ることができます。
そして、知れば知るほど、「不穏」さが増すんです。一体セフィラとは何なのか、彼ら・彼女らは一体何なのか。そもそも「私」は何なのか、全てが訳が分からなくなっていきます。
いつの間にか幻想体というものだけでなく、『L社』の『特異点』も見せつけられるようになり、ストーリーに没入していかされ、ただの管理ゲームには思えなくなります。
そして『真実』を知ったあなたは驚愕し、この『都市』から目を離せないようになるでしょう。『Lobotomy Corporation』、恐ろしく、美しいゲームです。
※第一作では『幻想体』は『アブノーマリティ』と呼称されていますが第二部以降で名前が『幻想体』となっているため、この記事では『幻想体』と統一しています。
第二作『Library Of Ruina』
TRPGのような戦闘システムとデッキ構築シミュレーションゲーム
このゲームはTRPGのようにダイスを振って戦う行為と、デッキを構築していく楽しさが合わさったシミュレーションゲームです。本から人格や戦闘技術をカードにしてデッキを組み、ダイスでバトルしていきます。
TRPGと同じくらい難解でありますが、チュートリアルがたくさんで、初心者も難なく進むことができ、最終的には全てを覚えています。そもそも難易度が高すぎて覚えないとクリア不可能なので。
単純にダイス目の高いもの、防御、ステータスアップ、回復、自傷、全体攻撃、状態異常、デッキに影響するもの、キャラ固有のものなど、カードはたくさんあり常に飽きさせません。
これらあらゆる手段をもって敵に打ち勝つ必要があります。敵からカードを得ていくシステム上、最初は相手のカードを持っておらず苦戦を強いられますが、一度勝てばかなり楽になります。ええ、一度勝てれば……ね。
最初は大して難しいこともなく、サクサクと進んでいくんですが、後半、怒涛の難易度です。私自身も、あまりの難易度に何度天を仰いで星を眺めたことか……。
星を眺めていても仕方がないので攻略サイトも見るんですが、それでも難しいんです。第一部『Lobotomy Corporation』よりはマシだと思うんですけれども、それでも難易度は極めて高い方でしょう。
その分クリアできたときは脳汁がたくさん出て幸せになれます。難解なパズルを攻略していくのに近いところがあるかもしれません。
本を人にし、都市の惨状を眺めていく
図書館に選ばれた「知識を欲するもの」に『招待状』を送り「人を本」にするというこの作品、招待状を送る過程で、その人がどういった理由で図書館に来るのか分かります。
浮浪者・探偵・復讐者・逃亡者・怪物、様々な者が図書館に訪れては本にされる前、過程をプレイヤーは見ます。第一作『Lobotomy Corporation』では舞台が『L社』内だけだったため『都市』全体の描写は少なかったのですが、第二作目は都市のことがよく分かるようになります。地獄です。
そうして都市の価値観、情勢を見ることで、何と恐ろしい世界なんだ……と強く認識することができるんですが、話を進めていくにつれ違和感を覚えはじめます。一体、何に向かって進んでいるのだろうと。
あまりに、あまりにバラバラなのです。そこら辺に死体が転がっている。人間が調理されている。新興宗教にハマるものがいる。無理やり図書館に捻じ込まれるものがいる。それは分かる。それは分かるんですが、断片的過ぎる。まるで水に『不純物』が紛れ込んでおり、少し変な味がして首を傾げているような……。
その『不純物』が一体何か分かったとき、あなたは感動して立ち上がり、拍手喝采すること間違いありません。とんでもない世界観・驚天動地のストーリーである第二作『Library Of Ruina』が私は最も好きです。
第三作『Limbus Company』
はじめに言っておかなければならないことがあります。第三作『Limbus Company』はソーシャルゲームで、今現在も更新されている真っ最中です。そのため今後の展開によってはこの記事に間違いが含まれる可能性がありますがご了承ください。
『Library Of Ruina』をマイルドにした戦闘システム
ゲーム性は『Library Of Ruina』が近く、ダイスの代わりにコイントスして数値を決め、数値が上回っているほうが勝つという戦闘システムとなっています。防御・回避ダイス・反撃ダイス・広域全体ダイスなどの特殊なダイスも全てコインでまとめられたため、分かりやすくなっています。
戦闘も半オートの「通常戦闘」とマニュアルの「集中戦闘」に分かれており、ある程度自動で進められれるのもありがたいです。ソーシャルゲームとなったため、前作より簡単な難易度を目指したのでしょう。難易度は高いですが、第一作・第二作と比較すれば非常にカワイイです。
それでも作中ボス戦は難しく、緊張感は保っていて、ちょうどよい塩梅なのではないでしょうか。……私がこのゲームをやりすぎていて、感覚がマヒしているだけなのかもしれませんが。
12人の登場人物に纏わる『罪』
『Limbus Company』は、管理人と主要キャラ12人が本社に雇われ、『都市』を巡り事件を解決していくというゲームとなります。厳密にいうと、13人の道案内をする「案内人」ヴェルギリウスと「運転手」カロンを加えた15人がバスに乗車し各地へ旅立ちます。
それぞれ人種も出身も性格も違うため、最初は衝突してばかりで「おいおい。大丈夫かよ……」と突っ込みたくなります。実際作中でも「案内人」も突っ込んでます。物理的にもです。
なぜこれほどまで衝突しているのかというと、やはり『罪』を抱えているからでしょう。それぞれ「死んでもいいから何とかしたい」という「何か」を持っているんです。
現在も分かってはいませんがLimbus Company社はなぜかそんな12人と縁深く「何か」がある場所へとバスを向かわせ、己の『罪』と対面することとなります。
その道中が、もうほんとにすごくて素敵で素晴らしくて、これ以上ないってくらいいいんです。「ああ、この地獄にはこんな美しいものがあるのだろうか」と叫びたくなってきます。
特にシーズン2から私の想像のはるか、はるかはるかはるか上のモノが出続けています。シーズン2で「絶対にもうこれ以上のものなんて出てこないだろ!」と思うんですが、シーズン3・4・5と、最高としかいいようがないものを出してくれています。こんなの、信仰するしかないだろ……!
手を変え品を変え12人を針の筵に追い込み、針から逃れることによって得られる解放感……ProjectMoon運営は化け物です。
最後に
他にも音楽が神(Miliの歌とのマッチが見事dさいStudioEIMがいい仕事してる)だとかボイスが神(韓国製のゲームであるため最初はハングル語に違和感を感じていたんだけど今ではむしろハングル語じゃないとダメになってきた)だと各キャラの魅力(「それはそれで、これはこれだ」が一番好き)とかまだまだ一杯語ることはあるんです。
でも、全て大きくネタバレに触れてしまいますし、ストーリーありきの良さでもあるため割愛します。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ぜひともこれらのゲームをやってみてください。絶対に後悔はしません。
※全てsteamから発売されているため、基本的にPCですること前提です。ただ『Library Of Ruina』はswitch、PS4から、『Limbus Company』はAndroid/iPhoneからもできます。
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