酷く長く、夢を見ていた。
深く、深く。暗く、暗く。どろりと濁った悪夢。
何度狂ったか、何度壊れたかわからない。
かつての記憶は血煙の内に霞み、代わりに[何か]の啓蒙が精神を侵した。
あの日の選択を後悔しなかった日はない。
バイト帰りに見つけた不思議と霧の立ち込めた暗闇の裏路地。
あの場所に何故か惹かれて入って、そこで[何か]に見初められた。
先輩たちの言うには、朝、その裏路地に私が倒れていて、そこから一か月眠り続けていたらしい。
……あの出来事が一か月。
それは信じがたいことであるとともに不思議と納得できた。
狩りが終焉を迎えるその時まで、私と、あちらの先輩は目覚めを繰り返し続けていた。
私達には永遠に感じる時の中でも、実際は長い長い一夜の出来事でしかなかった。
……まあ、そんなことはどうでもいい。
ただ、事実なのは、未だ、私は夢に囚われたままで。
……私、黒見セリカの精神は致命的に破綻した。それだけだ。
黒見セリカがBloodborneの世界に囚われ狩人と成ってしまったお話です。Bloodborneの世界、狩人となって戻ってきたブルアカの世界両方を描いています。
ソウルシリーズのキャラが別世界に行くという話は今まで結構紹介してきたんですが、紹介してきた中で最も原作準拠で悲惨です。Bloodborneのグロテスクでおどろおどろしい様がよく出ています。
当然そんな恐ろしい世界に居たセリカの精神は発狂寸前、いえ既に発狂しきった後で、ブルアカ世界でも狂っちゃってます。
そんなセリカを他のメンバーが心配して曇って、気を使わせたセリカの精神も削れてと、私にとって理想の展開でした。久しぶりにこんなに愉悦の沼に浸れた気がします。良きかな良きかな。
曇らせだけじゃなくてちゃんと愛があるといいますか、お互いがお互いを想いあってるんだなあというのもよく表現されているのが一番良い点だと思います。
上級者向けだとは思いますが、曇らせ好きな人にはグサッと刺さる作品になっています。曇らせ・愉悦好きな方はぜひお読みください。
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