かつて、名球会入り目前で病に倒れた大投手が居た。
その男は最速130キロ程度の球速でありながら、出どころの見にくい投球フォームと多彩な変化球によって、遅い直球を実際の球速表示よりも速く錯覚させていたという。
通算で積み重ねた勝利数は199勝。遅い球しか投げられないにも拘らずプロの打者を相手に勝ち進む彼を、人は「星の大魔王様」と呼んでいた。――これは、そんな大投手の記憶を持つ一人の野球少女のサクセスストーリーである――。
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パワプロ世界ならオリ星野氏のようなタイプの女の子投手が出てきても良いんじゃないか、そんな考えで書いてみました。
GT(EW版) – Hameln
プロ野球選手の記憶が残っている高校野球少女が甲子園を目指す話です。前半、憂鬱な描写が多かった一方、後半にかけてどんどん盛り上がっていき、最後のほうは思わず泣いてしまいました。
少女が野球とどう付き合っていくのかということが主題です。身体能力では男性に敵わないので、別の何かで補おうとします。また甲子園に女性は選手として参加不可能なため、何のために練習するのかも問われます(調べてみたら、未だに甲子園は女性選手禁止みたいです……)
中学校では監督の理解が足りず、ピッチャーとしてとんでもなく強いにもかかわらず、女性だからと言う理由だけで、一切試合に出してもらえませんでした。そのせいで主人公は卑屈になってしまい、物語前半では周囲にとても気を使いながら野球していました。
それがどんどんチームメイトや他校のメンバーに励まされ、明るさを取り戻していきます。長い話数をかけて、改めて野球に向き合い、チームメイトの信頼を得ていく過程は、感動的で涙が止まりませんでした。
実況パワフルプロ野球を知らない人でも楽しめること間違いなしです。ぜひ読んでみてください。
※夜市よいのはっしん場所から見つけました。よければこちらの紹介文も見てください。
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