「あなたしかこの未来を変えることはできないの、霊吾。」▼ 博霊としての素質を持ったものが生まれず、廃れたスペルカードルール。跋扈する妖怪達と人間達は血で血を洗うような争いに身を投じている。その中、ほんの少しだけの霊力を持った少年、霊吾は幻想入りをはたす。素質に関してはまったくと言っていいほどないが、妖怪の賢者は彼にかつて最強の巫女と謳われた者の面影を感じた。▼人と妖、どちらからも嫌われ、殺意を向けられようとも、彼は自らの役目とされた博麗を全うする。その身に眠る身に覚えのない記憶はいつも自分に幻想を見せる。それが彼の行動源になっていた。▼人と妖とが笑いあう幻想を。なによりも幸せだった時期を。
虎山 – Hameln
2023年5月21日現在まで、半年更新が止まっている長編のため、注意してください。
オリジナル要素満載の作品で、霊夢がいなくなったあとの荒廃した世界観を四十話もかけて表現しています。
霊夢がいなくなった後の幻想郷は、人間と妖怪のバランスが保てず、人間側は妖怪に対する不信感が極限まで高まり友好的な妖怪すら始末していき、妖怪側は幻想郷に見切りをつけ特攻したり自殺したりします。
そんな中、幻想入りした霊吾という主人公が、霊夢の能力に似ていることから、絶望しかかっていた妖怪たちに鍛えられ、何とか均衡を保とうと努力します。
随時シリアス調で、原作のキャラもたくさん死んでいくため、好き嫌いが分かれると思います。
私は幻想郷の妖怪たちの死にざまに、この小説の魅力を感じました。原作キャラまでさらっと出てきてはすぐ死んでいく、ただ、その最後はそのキャラが持つ魅力そのもので、死にざまにこそ性格が現れていました。すばらしかったです。
一見ヘイトものだと感じるかもしれませんが、中ほどまで読み切ると、ヘイトものではない確信が得られます。
好き嫌いは分かれると思いますが、私はとても楽しめました。ここまで読んで気になる方はぜひ読んでみてください。
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